K×Kプロジェクトの倉庫施工に密着しました!

皆さんこんにちは!工学院大学新聞会のちくわです!今回は学生プロジェクト団体WA-K.proさんの大型企画、K×Kプロジェクトの倉庫施工の様子を、12月から約4ヶ月間密着させて頂きました!この記事では施行の流れや、学生プロジェクトの雰囲気を紹介していきますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです!
WA-K.proってなんだろう?
その前に、学生プロジェクトWA-K.proさんについて紹介していきます!WA-K.proは建築系の学生プロジェクトで、主に建築学部の1,2年生が主体となって、様々な活動をしている団体です!与えられたテーマを元に家具を作る「家具コンペ」や、街を歩き、建築物を見て学ぶ「アルキテクチャー」、実際に林を歩き林業を学ぶ「林業見学会」など、幅広い活動をしており、とても活気があります!
2023年に行われた家具コンペを取材した記事もありますので、よければこちらも読んでみてください!
https://kogakuintimes.com/2023/08/16/wa-k-pro_2023/
K×Kプロジェクトは「地元・多摩産材を用いた地産地消のものづくり」をテーマに、八王子キャンパスに新しい倉庫を学生たち主体で作り上げるという、WA-K.proの一大プロジェクトです!!また、テーマにもある通り、地域に根ざした活動をしていて、毎年楢原町や企業と協力し、チーム一丸となって設計・建築を行っています!木材は楢原村の東京チェンソーズさんから毎年提供されており、ものづくりの中で人の繋がりの大切さを学んでいます。
https://www.kogakuin.ac.jp/archive/KK_project.html?tabview=information (大学公式HPの紹介ページ)
顔合わせ(12/13)
この日は初めてK×Kプロジェクトの方と顔合わせをしました!今年度のK×Kプロジェクトは付属高校の体育授業用倉庫と柵をグラウンドの端に建てるとの事で、早速連れて行ってもらいました!既に仮設の作業場が隣に設置されており、中で木材の加工を行っているようです。「せっかく来たしやってみる?」ということで、筆者初めての電動ドライバーに挑戦!とてもパワフルな挙動でびっくりしました……。ここから長い工事が始まります……!
施工前の様子(12/24)
後日明るい時間に伺い、施工前の様子を撮影させて頂きました。ビフォーアフターでどうなるのか注目です。
基礎工事(12/24、1/27)
倉庫の土台を作るために、まずは地面を掘削し、そこに砂利を敷き詰めていくようです。さらに、薄くコンクリートを流すことで地盤を平らにし、その上から改めて木材と鉄筋の型を組み、コンクリートを固めるそうです……!なんだか凄いですね……。身近な建物の土台もこんな風に出来ていると思うと、建築士の方って凄いなぁとしみじみ思います。ちなみに、地盤を平らにするために流すコンクリートを捨てコンと呼ぶそうです。
そして、これがコンクリートを流し終えた際の土台の様子です!綺麗に固まっていて感動しました。この土台なら何年経ってもバリバリ現役で頑張ってくれそうです!
また、残念ながら鉄筋が見えてる状態の写真は撮れませんでしたが、鉄筋もガッチリと組まれており圧倒されました……!
木材切り出し(12/24、1/27、2/20)
学生自ら設計した図面を元に、木材を切り出したり、溝を掘っていきます!皆さんものすごく集中されていて、まさに職人の現場といった感じでした。情報学部で完全に畑違いな筆者は、様々な機械を巧みに使いこなす様子をただ愕然と眺めておりました……。
切り出した木材には防腐剤を塗り、いつまでも木材の良さを残しておけるようにしていきます。
こちらは、壁を構成するパーツを作っている様子です。さきほど切り出した木材を合体させ、いくつものパーツを寸分の狂いもなく作っていきます。そして、建築現場に持っていく前にしっかり組み立てられるかをチェックします。もうすでに見た目のインパクトがすごいですよね……。木造ならではの組み木のような建築技法は、見ているだけでワクワクしてしまいます。また、メンバーたちも和気あいあいとしながらも、真剣さを持った良い雰囲気で作業をしており、学生だからこそできるこのプロジェクトの真髄が現れているように思います。
組み立て(2/20、3/8)
少し間が空き、2月の下旬に取材に訪れると、そこには立派な柱が立っていました!土台の四方に埋め込んだ柱を、セメントで補強していきます。頭の中で柱の骨格をなぞり、どんな建物になるのか想像を膨らませると、期待で胸がいっぱいになります。
外壁用の骨格と梁が木で組まれています。きれいに格子状になっていて美しいですね。こういった様子も完成してしまうとなかなか見ることができませんから、こうして取材の一環で見ることができたのはとても良かったです!ちなみに、この写真を取ったとき、倉庫を囲うように金網の足場が三階分ほど建っていたのですが、そこを渡りながらカメラを持つのはとても緊張しました……!しかし、こんな貴重な経験ができるK×Kプロジェクトは改めて珍しく、とても良いプロジェクトだと感じました!
倉庫と一体化するような形で、グラウンドの外周の一部に柵も建てられました。見た目がオシャレですよね!目で楽しめるような造形にもこだわるK×Kプロジェクト、恐るべしです。
こうして着々と完成へ近づいていきました……。
竣工式(4/8)
4月に入り、いよいよ倉庫の完成です!こちらが完成した倉庫の全体像です。何もなかったグラウンドの隅っこに、洗練された木造の建物がどっしりと構えています!道路側から見ると、ずらっと並んだ柵がとても芸術的で心踊ります。本当に学生が作ったものなんですかこれ!?
完成を祝して4/8(火)に竣工式が行われました!
式にはK×Kプロジェクトのメンバーの他に附属高校の校長や、工学院大学理事長、またこれから倉庫を使っていくことになる体育科の教師が参列し、祝辞の挨拶をされていました。グラウンドに咲き誇る桜も倉庫の完成を祝っているかのような、そんな春爛漫な竣工式となりました。
また、木材を提供してくださった東京チェンソーズの青木 亮輔氏、設計指導を担当頂いた同設計事務所の繁田氏も参列しており、学生たちがプロジェクトを通し、成長していった事に対し称賛されていました。
(写真の男性は繁田氏)
倉庫の中はこのような感じになっており、木目の模様に温かみを感じられます。これは個人的な感想ですが、木の中にところどころ金属の黒が入っているのがアクセントになっていて、温かさだけでなく引き締まったスタイリッシュなデザインになっているのもとても良いと思います!
柵も間近でみると造形が作り込まれていて、ワクワクしてしまいますね!こんな柵があったらついつい何度もこの道を通りたくなってしまいますね。この柵は有名なテンセグリティ構造をイメージしてデザインされているそうです。いわばリスペクトというやつですね……!ただし、物理的な原理はテンセグリティではないようです。隙間があいていますが、計算された対称的な構造で頑丈にできていそうです!
K×Kプロジェクトの方々へインタビュー!
WA-K.pro副代表、K×Kプロジェクト学生代表 清水 陸翔さん(建築デザイン学科3年)
プロジェクトの目的について、改めて教えてください。
地元の多摩産材を使い、実際に使用される建物を設計・施工することで、ものづくりの実感
と、建築を通じた社会との関わりを学ぶことが目的です。
「施工」という言葉が出てきますが、どういう体験でしたか?
設計だけでなく、実際に工具を持って木材を加工し、基礎から屋根まで自分たちの手で建て
ていく経験は本当に貴重でした。ものづくりの面白さと難しさの両方を体感しました。
多摩産材を使うことの意味はどこにあると思いますか?
地元の資源を使うことで、森林とのつながりや地域産業の現状に触れ、建築が「どこから来
て、どこへ向かうか」を考えるきっかけになりました。
一番大変だったことは何ですか?
リーダーとしてメンバーをまとめ、プロジェクトを前に進めることの難しさを実感しまし
た。関わる人の考え方や温度感がそれぞれ異なる中で、どうすれば皆が同じ方向を向いて進
めるかを常に考えていました。時には思うようにいかないこともありましたが、チーム全体
の目標を第一に考え、対応することを心がけました。
今後、建築や社会とどう関わっていきたいですか?
実践の中で得た学びを、将来の設計や地域とのつながりに活かしていきたいです。建築を通
じて社会に貢献できる力を少しでも高めていきたいと思います。
最後に、このプロジェクトの魅力を一言で伝えると?
一人じゃできなかったからこそ得られた「人とのつながりと、現場のリアル」がこのプロジ
ェクトの一番の魅力です。
また、K×Kプロジェクトのメンバーの方々にも話を聞くことができました!
授業での設計と、実際に建てることの違いは何でしたか?
設計の授業でも模型は作るが、その建築が実際に建つことはない。自分の脳内に浮かんで
いる完成像をそのままのスケールで作るということは、授業ではできない経験だった。(松本さん)
建物づくりを通じて得た学びを教えてください。
今大学の授業で行っている設計課題は、自分 1 人で考え、模型を作ります。しかし、プロ
ジェクト内で作る建物は、1 人では作れません。携わる全ての人と協力し、建物を完成する
までの“流れ”を経験できたことは、貴重な学びとなりました。(大空さん)
この活動で支えになった存在はありますか?
共に作業を進めていく先輩や友人、職人さんたちの存在が大きかったと思います。同じ苦
労を感じ、時にはお互い励まし合い、先は長いけど確かにゴールには近づいている作業は仲
間の支えがないと乗り越えることはできなかったと思います。建物が建て終わったときは
おもいっきり歳の差関係なく喜び合いました。この活動を通してより先輩や友人との関係
を深められたことを感じます。(川島さん)
今後、建築や社会とどう関わっていきたいですか?
僕は幼い頃から転勤が多く、今まで過ごしてきた町はどれも好きであり、地方で仕事をし
たいと思っている。建築のイメージとして都会のビル群や規模が大きいものが出てきやす
いと思うが、僕はもし独立し 1 級建築事務所を開設できたのなら、地方の都市を中心にま
ちづくりで社会と関わっていきたい。(川久さん)
まとめ
今回は、K×Kプロジェクトの学生たちが力をあわせ、立派な倉庫を施工するまでの過程を紹介しました!実際にこの目で建物が完成していく様子を見ると、人々の力強さを実感できます。また、普段何気なく利用している街の建物にも、予想以上にたくさんの人が関わっているのだと再確認する機会にもなりました。
これから社会でどんなふうに活躍していくのか、将来のビジョンが見えず漠然と大学の授業を受けている人もいると思いますが、この取材を通し、大学生であっても強い信念と目標があれば社会の役に立つような素敵な仕事ができるのだと確信できました。この記事を読んでいる学生の皆さんも自身の持ち味を活かし、なにかを成し遂げてみませんか?