本というのは、読者に良くも悪くも様々な影響を与える。本は単に知識を与えるだけでなく、思想や考え方をも与える。そして、本から受ける影響は人それぞれである。
本を開くことで新しい世界を知ることができる。読者と感想を共有すれば、更に世界は広がる。私は今回のブッククラブの取材で、率直にそう感じたのである。

工学院大学ブッククラブとは

工学院大学ブッククラブとは、大学にブッククラブ文化を創出したいと、非常勤講師の小田玲子先生が呼び掛けて4年前に立ち上げられた公認サークルである。概ね毎月開催し、予め一つの本をテーマとして決めディスカッションを行う。
メンバーは学内の学生の他、図書館の司書さんや社会人、定年を迎えた人など幅広い。読書会では、各々がその本を読んだ感想や意見を発表するが、幅広い年代の人たちが集まるため、感想や意見が人によって大きく異なることもあるという。
主催の小田先生は、「幅広い年代に人が集まることで、一人では考えつかない意見を知ることもある。本を読むだけでなく、気持ちや考え方を広く共有したい。」と話す。

「良心をもたない人たち」とはどんな人なのか?

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今回のブッククラブのテーマは「良心をもたない人たち」。著者はアメリカで臨床心理学者としてセラピストを行っているマーサ・スタウト、訳者は木村博江、草思社文庫出版の本である。
この本では、著者が臨床心理士としてカウンセリングを行ったり、実際のサイコパスとカウンセリングを行ったりする中で得られた経験を元に、サイコパス(=「良心が欠如している人」、作中及び当記事においてはそのように呼称する)の実態を明らかにし、読者がサイコパスの被害者にならないようにするためにはどうすればいいか、というテーマで書かれている。

作者は文中で「サイコパスは、自分の行動が社会、友人、家族、子どもたちに及ぼす影響を、完全に無視できる」と述べている。端的に言えば、罪悪感がなく、無責任で、良心の呵責が無いような人を指す。そして、そのような人がアメリカでは約25人に1人の割合で存在するが、多くのサイコパスは一見して見た目に変わった点は無いと主張する。